「十二月己酉朔丙辰。禁断雙六」(持統天皇の条)
禁令を出さなければならないほど人気があり、広く流行していたことがうかがわれます。また万葉集にも
「一二の目のみにあらず五六三四さへあり雙六の采」
と詠まれています。
正倉院には聖武天皇のご愛用品として伝わる5面の雙六盤が現在も大切に保存されています。
飛鳥時代に伝わった双六は江戸時代中期まで庶民から上流階級まで幅広く人気を集め、数多くの文学作品にも登場しています。
『蜻蛉日記』
「すぐろくうたんといへば、よかなり、ものみつぐのひにとて、女うちぬ」『枕草子』
「つれづれなるもの・・・(中略)・・・馬おりぬ雙六」 「清げなる男の雙六を日一日うちて、なほあかぬにや、みじかき燈台に灯をともして、いとあかうかかげて、かたきの賽をせめこひて、とみにも入れねば、筒を盤の上にたてて待つに、・・・」『大鏡』
「ひさしく雙六つかまつらで、いとさうざうしきにけふあそばせ」 「雙六の坪をめして」『徒然草』
「雙六の上手といひし人にその手立てを問ひ侍りしかば、勝たんとうつべからず負じとうつべきなりいづれの手が疾く負ぬべきと案じてその手を使はずして一目なりともおそく負くべき手につくべしといふ」大変に流行し、日本人に親しまれてきた双六ですが、江戸時代後期には衰退してしまいます。その原因については 確かなことはわかっていません。こうして今日では単に双六と言えば、普通はお正月の風物詩として残る絵双六を意味するようになりました。
日本では衰退してしまった双六ですが、ダブリングのルールなどを付加されたバックギャモンとして再輸入され、知的でお洒落でスリリングなゲームとして認知されつつあり、再び広く人気を集めはじめています。
参考
増川宏一 著 「すごろく」 法政大学出版局
文化・遊び・「すごろく」
源氏物語の遊びについて
バックギャモンその魅力と戦術 バックギャモンの歴史
バックギャモン バックギャモンの歴史
盤すごろくの歴史
Egyptian Life, Senet