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全ては期待値のために https://backgammon.or.jp/forum/viewtopic.php?f=2&t=3547 |
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作成者: | kinchan [ 2014/01/08 16:48 ] |
記事の件名: | 全ては期待値のために |
■ 期待値とは バックギャモンでは良く、エクイティという言葉が使われます。 英語で書くと、Equity ですが、辞書で引くと「公平、純資産」などと書かれていて??となります。 バックギャモンで言う、Equity は、一般に数学の確率論の期待値(Expectation)を指しています。 期待値とはなんでしょうか? 同じ技量のバックギャモンプレイヤーが二人いた場合、ゲーム開始時の期待値は0になります。 0という数値はどこから来たのでしょうか? 期待値は「起こりえる事象とその確率を掛けたものを全て足したもの」です。 話を単純化するために、キューブもギャモン(バックギャモン)勝ちも無いこととします。 つまり、バックギャモンというゲームは勝つと1点もらえて、負けると1点とられるゲームと仮定します。 同じ技量ですから、どちらのプレイヤーも勝率は50%です。 起こりえる事象は、1点勝ち(+1)と1点負け(-1)で、それぞれの確率は50%つまり、0.5です。そこで次の計算となります。 (1 × 0.5) + (-1 × 0.5) = 0 もし、技量に差があって、片方の勝率が60%とすると (1 × 0.6) + (-1 × 0.4) = 0.2 となります。 期待値がプラスということは、有利であると言うことと同義になります。 もし、片方の勝率が100%だと計算は省略しますが、期待値は1になります。 これから、期待値は、-1~+1の間で変化することが分かります ■ キューブアクションが絡む場合の期待値 以下のポジションでキューブの有無による白の期待値を計算してみましょう。 添付ファイル: 25.jpg [ 22.67 KiB | 閲覧された回数 14594 回 ] 上がれなかったら負けです。 (1 x 19/36) + (-1 x 17/36) = 2/36 キューブが2倍の場合は以下の通りです。 (2 x 19/36) + (-2 x 17/36) = 4/36 キューブを2倍にした場合に増えたのは 4/36 - 2/36 = 2/36 ですね。 添付ファイル: 22.jpg [ 22.63 KiB | 閲覧された回数 14594 回 ] 白の上がれる目は26通りです(知らない人はちゃんと数えましょう)。 以下の通りになります。 (1 x 26/36) + (-1 x 10/36) = 16/36 (2 x 26/36) + (-2 x 10/36) = 32/36 キューブを2倍にして増えたのは 32/36 - 16/36 = 16/36 どちらのポジションも期待値はプラスで、キューブを2倍にすることで儲けも2倍になります。 が、前者は 2/36 しか儲けが増えていませんが、後者は 16/36 も儲けが増えています。 どちらのポジションも黒側から見ると勝率25%以上あるので、ダブルされたらテイクです。 どちらも正しいダブル・テイクポジションなのに、後者の方がキューブアクションによる儲けが多いわけです。 これを一般に 前者は 弱いダブル 後者は 強い(効果的な)ダブル と言います。 もしあなたがこのポジションのどちらかを選んでダブルを打てるとしたらどうしますか? 当然後者を選びますよね? バックギャモンをプレイするとき、出来るなら、後者タイプの強いダブルを打ちたいな~と意識することは とても重要なプレイ方針のひとつになるわけです。 ■ 何故、キューブの位置によって、ムーブが変化するのか? ある局面でAとBの二つのムーブがあったとします。 ムーブAは相手がどんな目を振ったとしても、勝率が70%あるとします。 安定して有利を保つムーブと言えるでしょう。 ムーブBは相手の出目により、70%の確率で勝率100%になり、30%の確率で勝率が0%になるとします。 こちらは、相手の出目によって、大きく勝率が変動するアグレッシブなムーブです。 ムーブAの期待値は 1 x 0.7 + -1 x 0.3 = 0.4 ムーブBの期待値も同じです。 従って、期待値の上からは、どちらのムーブを選んでも同じです。 しかし、キューブアクションが絡んだ場合、安定したムーブの選べば次に、強い(効果的な)キューブを打つことができます。 これは、イコール、期待値を上げることです。 ところが、ムーブBの場合、次の手番で、キューブアクションをすることは出来ません。 もう、勝負が付いてしまっており、キューブアクションのタイミングが無いからです。 (キューブアクションしてもパスされるか、不利(負け)なので、キューブアクションできない)。 両方のキューブアクション込みの期待値を計算してみます。 ムーブA 2 × (0.7-0.3)= 0.8 ムーブB 1 × (0.7-0.3)= 0.4 ムーブAの方が(キューブが2倍になったので当然ですが)期待値が2倍になります。 この考えに基づき、次の格言が生まれます。 (1) キューブアクションが可能で、有利な場合は、保守的なムーブを選ぶ。つまり、自分が有利な時は穏やかな展開を続けていった方が適切なダブルポイントを迎えやすいということです。 (2) 逆に相手がキューブアクションが可能で、自分が不利な場合は、アグレッシブなムーブを選択して、スイングを過激にし、相手に適切なダブルポイントを与えない方が得するということです。 次の問題を考えてみましょう(なお、ロール前、ダブルじゃないの?というエキスパートの方がいらっしゃると思います。はい、ダブル・テイクポジションですが、練習問題と言うことでそこは目をつぶって下さい)。 添付ファイル: 54.jpg [ 24.19 KiB | 閲覧された回数 14594 回 ] Player: 69.03% (G:2.36% B:0.01%) Opponent: 30.97% (G:2.57% B:0.06%) 2. XG Roller++ 8/3 5/1 eq:+0.536 (-0.026) Player: 68.38% (G:2.36% B:0.02%) Opponent: 31.62% (G:2.19% B:0.04%) 3. XG Roller++ 6/2 6/1 eq:+0.524 (-0.038) Player: 68.05% (G:2.45% B:0.01%) Opponent: 31.95% (G:2.54% B:0.05%) 4. XG Roller++ 8/3 6/2 eq:+0.510 (-0.053) Player: 67.69% (G:2.65% B:0.02%) Opponent: 32.31% (G:2.54% B:0.08%) 5. XG Roller++ 8/4 6/1 eq:+0.507 (-0.055) Player: 67.68% (G:2.52% B:0.02%) Opponent: 32.32% (G:2.55% B:0.09%) 6. XG Roller++ 13/9 13/8 eq:+0.421 (-0.142) Player: 70.01% (G:4.22% B:0.03%) Opponent: 29.99% (G:1.72% B:0.04%) この問題の肝は 6.の 13/8 13/9 と 6/1 5/1 に代表される安全プレイの比較です。 13/8 13/9 とやると次にヒットされなければほぼ勝ちでしょう。逆にヒットされるとほぼ負けとなります。 つまり、期待値のスイングが激しい、過激なプレイなわけで、次の黒の出目次第で勝負がほぼ決まります。 それに対し、安全プレイの場合、黒の殆どの目に対して、白は勝率 70%程度を維持しており、次に効果的なキューブを打つ下準備をしているというわけです。 |
作成者: | kinchan [ 2014/01/08 16:56 ] |
記事の件名: | Re: 全ては期待値のために |
お世話になります。きんちゃんです。 2011年10月から始まった、大阪チャレンジカップも3年目を迎えられました。 ご参加頂いた皆様の賜と深く感謝致します。 大阪チャレンジカップでは毎回、11:00~12:00 にバックギャモンのお勉強会を開いています。 で、その時に作った資料が結構たまりました。 大体、数時間で作成した物で、試験前の一夜漬けみたいなしろものですが、ちょっと公開してみます。 これは、2011年11月に行った物です。 ご感想を頂けると幸いです。 ではでは~ p.s. 間違いがありましたら、ご指摘頂けると幸いです。 |
作成者: | kinchan [ 2014/01/08 17:10 ] |
記事の件名: | Re: 全ては期待値のために |
■ ダブルについて考える 特殊なポジションを除いて、少しだけ有利な場合に、ダブルをしてはいけないのは何故か? (初手31、相手12)は明らかに自分が有利。だが、ダブルすると大きなエラーになります。 何故でしょうか? 結論から言えば、期待値が下がるからです。 ダブルするメリット キューブを2倍にすることで、期待値が上がる(他のことを考慮しなければ2倍になる) ダブルするデメリット 勝率75%以上の局面に達した時にキャッシュする権利を失う(=100%勝ちきらないといけない) 勝率50%以上(ギャモンの考慮無し)の場合だとメリットは常に発生しますが、「キャッシュする権利」を失うマイナスの方が大きい場合には、結果的に期待値が下がります。 従って、デメリット以上のメリット、つまり50%よりも高い勝率が必要になります。 また、リダブルの場合は、更に相手にキャッシュする権利を新たに与えるため、デメリットがより大きくなり、イニシャルダブル以上の勝率が必要となります。 なお、ラストロールポジションの場合はキャッシュできる場面が発生しないため、デメリットが全くないので勝率50%以上なら常にダブルが正解になります。 上は、一見正しそうな理論ですが、正確ではありません。 次のポジションを考えてみましょう。 添付ファイル: 35.jpg [ 22.75 KiB | 閲覧された回数 14590 回 ] Analyzed in XG Roller++ Player Winning Chances: 55.52% (G:0.00% B:0.00%) Opponent Winning Chances: 44.48% (G:0.00% B:0.00%) Cubeless Equities: No Double=+0.110, Double=+0.221 Cubeful Equities: No double: -0.154 Double/Beaver: -0.617 (-0.463) Double/Pass: +1.000 (+1.154) Best Cube action: No double / Beaver Percentage of wrong pass needed to make the double decision right: 22.3% eXtreme Gammon Version: 2.10 黒はざっくり、56%近くの勝率があります。 でもここで、黒がダブルすると、大きなエラーとなります。白は単にテイクするだけでなく、ビーバーするからです。 白は、「キューブを持つことによって100%勝ちきる必要がなくなる分得する」から、ビーバーするのではありません。 また、黒がダブルしてはいけないのは、ダブル・パスの局面に達したとしても、自分にキューブを打つ権利はもはや無いわけですから、勝率100%、つまり最後までプレイしなければならない」からでもありません。 白は黒がベアオフに失敗したら、「キャッシュしてやろう」という心づもりは全くなく、むしろその逆で「4倍(実際にはビーバーしてあるので8倍)をテイクさせてやろうという企みです。 これから分かるのは、「キャッシュする権利」というのは正しい表現ではなく、「ダブルによる期待値を上げる権利」が正確な言い方となります。 これまで述べたように、バックギャモンの全てのプレイ(ムーブ、キューブアクション、その他)は自分の期待値を上げることが目的になっています。 本日のお題目、「全ては期待値のために」はここから来ています。 ご清聴ありがとうございました。 おしまい。 |
作成者: | 桜 純 [ 2020/05/19 18:27 ] |
記事の件名: | Re: 全ては期待値のために |
初めまして。古い記事へのレスで申し訳ないですが。 「次のポジションを考えてみましょう。」以下、白と黒が逆に書かれていませんか? |
作成者: | 望月 正行 [ 2020/05/20 20:47 ] |
記事の件名: | Re: 全ては期待値のために |
引用: 初めまして。古い記事へのレスで申し訳ないですが。
多分、反対に書かれていますね。
「次のポジションを考えてみましょう。」以下、白と黒が逆に書かれていませんか? |
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