home 「香港有り金勝負日記 」後編 by 金子 真一郎

 10月3日(金)
 そんなこんなで始まった1回戦。相手の大男は、どう見ても青春ドラマの悪役、しかもたいてい頭が悪くて、最後にはひどい目に会うタイプ。2−1で迎えた3ゲーム目、自信満々にキューブを打ってくる。


白:金子 黒:大男

 マズそうにも見えるが、大イージーテイクである。相手もよく見れば楽ではない。事故って4点取られるのは嫌だったが、テイクした。その瞬間、相手の顔色が変わった。どうも「お前ギャモン知ってんのか」と言ってるらしい。後ろで見ていた友人に向かって「これ引いたんだぜ!信じられないよな」と言っている。
 どうもパッシングキューブのつもりだったらしい。
 大男は「これで決まりだぜ」と言いながらロール。
出た目は1−6、5秒の沈黙、大男はダイスカップを叩き付け、神様に向かって何かを言った。(Bar/24,7/1)
 3−5を振ってヒットアンドカバー。(23/18*,6/3)ダンスしたのでリダブル、今度こそ本物のパッシングキューブである。ぶっちぎれていた相手は、なんとテイク!!!
 ここはあっさり押し切って6−1に。そのあとは、なにも危ないところがなく11−1で快勝した。30分ちょっとで終わってしまったので、会場をぶらぶらしていたが、香港のプレイヤーたちは初級者でもガンガンキューブを使う。
 そして、どんどんテイクである。「肉食ってると違うね」は鷹觜さんの名言だがホントそんな感じで、自分より弱い相手にキューブを打たれて、テイクされるくらい嫌なことはない。どうやら肉食ってるやつの方が、そのことを理解しているようだ。
 この日は、普通に地下鉄に乗って帰ったが。香港に居ても、日本に居ても、金子、西野のコンビはいい加減で「終電乗れなかったら笑えるよねー」「ウンギャグだよね」と言いながらヘラヘラ笑って、終電を心配し走る仁木を切れさせていた。今度は、金子、西野、新田でパタヤに行くが、新田さんは平気だろうか、少し心配。

 10月4日(土)
 香港に着いてからもう5日目、すでに観光しようなんて気はサラサラ無い。マックで朝飯を食べ、さっそく会場へ。我ながらあきれるが、朝起きると、会場に行きたくてウズウズしている自分に気付く。立派なギャモン中毒、もし彼女と一緒だったら、まず振られちゃうんだろうななんて思ったりした。
 2回戦の相手は、パタヤから来たドイツ人のBarkait 、あとで知ったが去年のタイの選手権優勝者。どうやらタイの選手権は、日本の初級戦より弱いようだ。日本で勝てなかった皆さん、来年は是非パタヤへ!。
 またも2−1から迎えた3ゲーム目、5ゾロからのブリッツが飛んでくる。ブリッツと言っても、ビルダーが来ない、打ち込んでこないの、手ぬるいもの。ぼくは「竹槍ブリッツ」と勝手に呼んでいるが、竹槍相手でもダンスを続ければ困るのは一緒。しかし、何回ダンスしても打ち込んでこない。相手の武器は竹槍ではなく、ひのきの棒だったようだ。
 なんとか5ポイントにアンカーを作ってホッと一息、やっと有利になったと思ったらキューブを打ってきた。「2点はあきらめた、もうここは1点で仕方が無い」と言っている。黙ってテイク、その瞬間の相手の驚いた顔は忘れられない。タイムリーな4ゾロで大有利になったので、リダブル。大パッシングキューブである。が、またも切れてた相手はテイク。
 ここもあっさり押し切って6−1。以下危ないところもなく押し切れ準決勝進出。いよいよ賞金まであと1つである。
 この日一番盛り上がったのは、ポール・景山戦。前号にもあったので、詳しくは書かないが、人のゲームを見て心臓が痛くなったのは初めてだった。それにしても、ポールの観衆を意識したパフォーマンスはすごい。あれでは、圧倒されちゃいますね。あの状況をプレイヤーとして経験できた景山さんがうらやましかった。
 この日は、早めに退散。下平さん、鷹觜さん、仁木と飲んで帰った。

 10月5日(日)
 セミファイナル。昨年の日本選手権、地区対抗、ポール来日記念大会。セミファイナルは、この1年で1勝3敗。鬼門である。「金の前で負ける男」を返上するためにも、負けるわけにはいかない。
 相当入れ込んでいた。相当いらついていたし、仁木にもだいぶ迷惑をかけた気がする、ゴメンネ。さて相手は、美人のオリビア河田さんのお気に入りである。美人という点に関しては、鷹觜さんと意見が分かれたが…。
 ゲームスタート、このゲームが始まる前に、3200HK$ のマッチ(1ポイントvs.スティーブ)4000HK$のマッチ(500$ ブリッツvs.和子さん)と2つ大きいところを落としているので、あとがない。表題の通り「有り金勝負」なのだ。
 あとが無かったこと、近くで見たら、香港当時付き合っていた(涙)彼女の方がかわいかったのが、勝因か。11−5で快勝。ただしセトルを断りきるほど鬼にはなれなかった。
 いよいよ決勝。相手は、世界の和子さんである。結果は前号にあった通り、11−15。3ゲーム目のランニングゲーム、ラストゲームのオンザバーからのワンショット、たった一言「人生の太さが違った」。そんな感じだった…。
 準優勝、サイドイベント全敗。結果は大不満な香港だったが、貴重な体験だった。実践カタカナ英会話とプリクラジョークを駆使して、多くの外国人プレイヤーたちと仲良くなれたのは財産である。いまでも、ロビンやオリビアとは電子メールのやり取りをしているし、パタヤでも多くのプレイヤーと再会できるはずだ。(ヴィーチャイにお礼参りもしなければ…)
 香港での1週間、おみやげ代くらいしかプラスはなかったが、それ以上に大きなものをたくさん手に入れた貴重な旅だった。

 来月は金子、西野、新田の学生3人がタイ・パタヤオープンに出場します。新田さんか西野くんが、パタヤ旅行記を書いてくれるかな?

おしまい。


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