home 「イスタンブール日記」 by 沼沢 和子

 今年1月13日から1週間、第3回ワールドカップチャレンジがイスタンブールで開催されました。私は去年に引き続き二度目の参加です。

 東洋と西洋が出会う国トルコ。
 お互いの文化がぶつかり合い、権力を競い合った都イスタンブール。何千年もの歴史をもつ宮殿やミナレット。気が遠くなりそうな年月をかけ人間の手によって織られたペルシャじゅうたんの数々。見どころがいっぱいでその上、王制政治が長かったせいか、食文化が非常に高く、美味しくて安価、食いしん坊の私にはこたえられない愉悦の町イスタンブール。
 新市街の高台に建つコンラットホテルのすっかり顔なじみになったボーイさんの人なつっこい笑顔に迎えられて嬉しいやら、なつかしい。そしてお部屋からは紺碧のボスボラス海峡が一望に広がり、豪華客船がゆっくりと湾に入ってくる様はまるで一枚の絵ハガキのような美しい眺望です。

 旅装をといて早速ギャモン会場へといってみました。カラコロと快いダイスの響きとともに世界中から早々と集まったギャモナーがあちらで談笑こちらでプレーとなつかしいお顔がいっぱいで思わず顔がほころびました。
 欧米式のチークキッスの抱擁型挨拶に以前は身を堅くした私も今ではすっかり慣れ世界中のお友達とハーイ、気分は最高潮に。トーナメントの中でも最も高額な優勝賞金と立地の良さで大変なにぎわいを見せるこの大会ざっと300人。
 オープニングパーティではテレビ局や新聞社の取材もあり町をあげてこのトーナメントに注目している様子が伝わってきます。私は早速エイタン氏に呼び出され、あちらでパチリこちらでハイポーズとまるで女優さんのような扱いでした。(ギャモン普及振興奉仕活動の一環ですエヘン)
 でも、トーナメントが始まってプレーのときもじっとカメラがこちらを向いていたのにはさすがに緊張してしまったのでしょう、私は負け続け40名たらずのビギナーの部門でコンソレも逃がし、なんの成績も残すことが出来ませんでした。きっと勝利の女神様が嫉妬なさったのでしょう。
 でもそのおかげで私はサバサバとのびのびとジャックポットや○ネーゲームに興じ思う存分楽しみました。

 中盤戦になるとディナーショーと共にオークションが行われます。3名1枠と人気のある人は1人1枠で28枠で約70名くらいのギャモナーの紹介があり400ドルから1200ドルぐらいまで競って行きます。
 私は最後の28枠を買いました。この枠はドイツの男性軍であまり人気がなく何のマークもついていなかったので400から始まって私が500というとすぐに落ちたのです。ですからとても低い金額でした。 何故28枠かというとその3名の中にロシア人のリスキーがいたからです。(ドイツ在住)
 彼は帝政ロシアの王家の末裔と見まがうばかりの高貴な雰囲気をもち、ピンクの肌に神秘的なブルーの瞳をもつ40台後半の無口な紳士です。それもそのはず彼は全く英語が通じずドイツ語なのかロシア語なのかいつもグラマラスな金髪美人の通訳がぴったりと寄り添っております。
 去年私はベニスからパガノス、モナコ、ニース、カンヌ、サントロペと1カ月ギャモンツアーをしたのですがそのときリスキーたちもホテルが同じだったため、卓球やプールで遊んだりした友人なのです。
 そして彼のギャモン好きは私と同じくらいなのです。消灯になればロビーの明かりで、そこがだめなら場所をかえてというふうにやり出すとなかなかやめることができなく、朝方残っているギャモナーを見渡すと、いつも彼がいてお互いに顔を見合わせて苦笑したものでした。

 そして今回私は初めてウォーミングアップトーナメントで彼と対戦したのです。なんと強いこと、強いこと私が彼の瞳にうっとりしている間か、まばたきをしている間か、あっという間に5ポイントマッチを負かされてしまいました。
 彼は宙に舞うブーメランのようでした。それでよし彼だと私の感ピューターが働いたのです。私は折に触れ彼に声援を送っていたのですが、残念ながら何回目かに破れ結局彼はコンソレの一位になったと思います。

 そしてすっかり勝利者への興味を失った私は相変わらず○ネーゲームに熱中していると、リスキーの美人通訳がきて私が買った28枠のカラティアンが残っているというではありませんか?
 エッほんと?もし彼が勝ったら配当は?なんて聞きにいってる間にあれよあれよと勝ち進みとうとう優勝決定戦がテレビに映し出されました。
 テレビの前は人だかりです。私もそのときばかりはゲームをやめてテレビ観戦をしました。ポールマグリエル氏と?氏の解説で一局一局白熱の対戦、ぴったりの出目でヒットしたりするとはっきり国別に別れ声援と怒号で大変です。
 文字通り手に汗を握る死闘を繰り返すこと数時間、そして私の28枠カラティアンが勝ったのです。バンザーイ500ドルが9000ドルに、私を勝利の女神様は見放しましたが最後に福の神様が大きな微笑みを下さったのです。

 そして私は町のレストラン、タクシードライバーにテレビで見たよとか新聞に載っていたねと声をかけられ、楽しさいっぱいうれしさいっぱいの「飛んでイスタンブール」でした。  今年も楽しみにしている今日この頃です。


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