いままで私が会報に掲載してきた記事の根元は、「こんな説明なら読みたくなるのでは」というアイディアでした。
ところが、「かがみのなか」の場合、「レースの勝率なみにギャモン率を推定するには?」という質問が出発点でした。
そこで、記事としての読みやすさを作り込むために、ホームページで質問・意見を募集しながら書き上げました。
ここでは、寄せられた質問のうち、文章構成上「かがみのなか」には十分書き込めなかった部分をまとめてみました。
【質問1】
グラフ1を見ると、80%以上の部分が乱れているのは、何故ですか?
【回答1】
たいへん本質的な良い質問です。
グラフ1は、1本の曲線が浮かんでくるように見えますが、ほんらいは、5本の曲線として考えるべきです。
その5本の曲線とは、
・ 1マンクローズアウト
・ 2メンクローズアウト
・ 3メンクローズアウト
・ 4メンクローズアウト
・ 5メンクローズアウト
の5本です。
説明をしやすくするために、本文では、これらを区別しませんでした。
実際に、重なって見えるのは、
・ 1マンクローズアウト
・ 2メンクローズアウト
の2本が、一見よく似た曲線になっているためです。
筆者が、80%以下の部分を直線としてみなすことを「大胆」と表現した真意が、ここにあります。
予備知識がある読者にとっては、区別すべきものを混同して議論しているように見えるかもしれません。
しかしながら、導入を力強いものにするために、あえて本文では1曲線とそのズレという説明にしました。
【質問2】
類似するポジションは、どのように選べばよいのでしょうか?
【回答2】
ダンスしていることが一番のピップロスになりますから、クローズアウトした駒数が同じポジションから探します。
次に、Qの値が近いポジションを選ぶようにします。
3メンクローズアウトまで、ほとんどのポジションでQの差を7以下にできると思います。
巻末のロールアウトポジションは、このような理由で選びました。
【質問3】
巻末のポジションを見ると、クローズアウトしている駒の数が同じでも、勝率が違っているのは、何故ですか?
【回答3】
ギャモン率が20%〜60%近辺のポジションでは、勝率が下がっていることに疑問を感じておられるのでしょう。
第1に考えられる理由は、ギャモン狙いのために、多少リスクが高いムーブが必要になっていることと思います。
次に、○のアウトフィールドの駒が、●をヒットした後のエスケープを迎え撃つことができるかどうかも、勝率が変わる原因の一つと思います。
図5と図7の配置の違いは、○のアウトフィールドポイントが、ミッドか18ポイントかの違いです。
ミッドがある図5の勝率は、96.8%、18ポイントがある図7の勝率は、97.1%となっています。
ミッドポイントが自陣のアウトフィールドすべてを睨んでいる効果もあると筆者は見ています。
【質問4】
4メンクローズアウトと5メンクローズアウトは、なぜ1ポジションだけ示しているのですか?
【回答4】
この2つのポジションは、バックギャモン率にも着目すると興味深いものがあります。
図15の3メンクローズアウトとともに、勝率、ギャモン率、バックギャモン率を並べて比較してみます。
勝率: 95.1% 94.1% 93.4%
ギャモン率: 78.3% 87.3% 86.3%
バックギャモン率: 6.0% 21.3% 39.6%
4メンクローズアウト以降は、バーからヒットされて、勝率、ギャモン率が下がっていく傾向が読み取れます。
また、バックギャモン勝ちを狙うためには、貪欲に5枚以上をクローズアウトすべきこともわかります。
4メン以上のクローズアウトポジションについては、以上の理由で1点ずつ示しました。
【質問5】
クラインマン・カウントとはどのようなものですか?
【回答5】
レースで、Xを振り番として、
D=(Oのピップ-Xのピップ+4)
K=D×D/(XOのピップ合計−4)
この値Kがクラインマン数で、0.55以上でダブル、0.7以上でリダブル、1.2以上でパスとする判定法です。
クラインマン・カウントでは、ピップロスを以下のように補正します。
・上がり枚数の差1枚につき2ピップ
・1ポイントの3駒目以上は2ピップ
・2ポイントの3駒目以上は1ピップ
・アウターの1クロスごとに0.5ピップ
・インナーのギャップごとに1ピップ
【質問6】
クラインマン・カウントと補正のしかたが違うのは、何故ですか?
【回答6】
ベアオフ合戦と違って、ギャモンセーブは、できるだけ早くインナーに駒を集めて1駒上げることを目的とすることを考慮しなければなりません。
このため、セーブ側インナーのギャップは、レースと比較して半分のピップロス換算と筆者は推測しました。
なお、ピップロスの換算値は、筆者が推測する仮説であり、今後、検証していく必要があると考えています。
ご意見や、誤差が大きいポジションの例をお知らせください。特に歓迎します。
【質問7】
クローズアウトしていないポジションのギャモン率を知りたいのですが。
【回答7】
大筋では、上がりのピップカウントとギャモンセーブ側のQの比較によってギャモン率が決まります。
ギャップやアンカーがあると、上がり側のピップロスが大きくなります。
詳しくは、「かがみのなか その2」が必要になってきます。お楽しみに。
【続く】