『まるで一卵性双生児! モンテカルロ/熱海 二都物語』 by 双六屋カゲゾウ
 
 

 まずは下記2点の写真をじっとご覧ください。

熱海  モナコ 

 上は熱海で下はモナコ。似ているというレベルを通り越し数学的にいえば相似どこ ろか合同、医学的にいえば兄弟どころか一卵性双生児、学術的にいえばシンクロニシ ティーです。

 モンテカルロ世界選手権には02年大会にはじめて参戦しました。フランスに降り 立ちニースからタクシーでモナコ入りしたときにその酷似ぶりに一瞬めまいを憶えま した。というのも選手権1ヶ月前のこと。前々から「両都市は似ている」という聞い たことがあり、静岡に行く用事があったので熱海を経由して実地に確かめていたので その印象ははなおさら強烈でした。

 最も似ているのは地形です。背後に山をいただき、目前はオーシャンビューとこぢ んまりとしたビーチ。急な斜面に苦しそうに建っているビル郡。その間を毛細血管の ようにうねった坂道が走っています。その都市の性格も同じです。大都市から程よく 離れたリゾート。旅行客を楽しませることで成り立っている観光都市です。

 とはいえ大きく違う点もあります。まずは気候。モンテカルロは1年を通してほと んど常夏。でも湿度が低いので日陰に入れば快適です。湿度が高く四季のある日本で はこの点では遠く及びません。都市のゴージャスさも愕然とするほど差があるのは否 めません。なんといってもモナコを彩るのはカシノやF1グランプリ、コートダ ジュールなど常に最上級で華麗なキーワード。スーパーリッチ達の御用達のリゾート としてステイタスを保っています。

 が、一方の熱海は一昔こそ新婚旅行や家族旅行の人気の地として君臨したものの、 現在は凋落の一途をたどっており、メインストリートのビルでも廃墟か取り壊し中な んてのがボロボロあります。モナコの住民を昏倒させて、そっと熱海に放り出してお けば目が醒めたとき「街が空爆にさらされた!」とか「100年前にタイムスリップ してしまった!」と驚嘆するにちがいありません。

 しかしながら希望がないわけではありません。ここ数年日本で盛り上がってきたカ ジノ構想。人気回復の起爆剤として熱海も名乗りをあげているそうです。それが実現 されたら「日本のモンテカルロ」として喧伝されるに違いありません。そうなればわ れらのバックギャモンもすぐさま大会を熱海で開催しなければなりません。

 ええ、シミュレーションが大事であることはスポーツの世界でも良く知られている ことですし、ここで擬似体験をしておけば本番の世界選手権でもきっと舞いあがらず に戦えることでしょう。(ほんとかいな)

 個人的にモナコと熱海の相似点でもっとも気に入っているのは山を背にしたとき、 右手の小高い丘がありモナコではそこに王宮が鎮座しています。では熱海はというと 同じく右手に高くなった場所がありこれまたなんと…熱海城が建っているのです!偶 然というにはあまりにもできすぎています。

 もっとも熱海城の場合ある施設が直下に併設されており、熱海に寄ったのもこの場 所を見学したいという強い欲求があったのもここで告白しておきます。え!その施設 名前ですか?巷では『熱海秘宝館』といわれているそうです。モナコも熱海も「大人 のためのリゾート」であることがこの一点からもおわかりいただけると思います。