文責 水谷晋、望月正行
本トーナメントルール(以下:本ルール)は、トーナメントを公正かつ公平に運営し、円滑に進めることを目的とする。
本ルールは日本バックギャモン協会(以下:協会)の主催、後援で開催される全てのトーナメントにおいて、2006年1月1日より適用される。ただし、本ルールだけで現実に起こる全ての事象に対応することはできず、またするべきではない。ディレクターは1.1.1に反しない範囲において、本ルールに制限されずに、現実に対応した柔軟な裁定を下すことが可能である。
本ルールは日本バックギャモン協会のルール委員会にて公式に承認されたものである。改正に当たっては同委員会の承認が必要である。承認後、一定の告知期間を置いて発効する。改正の申し立ては協会会員であれば随時行うことが出来る。
協会の主催、後援で開催されるすべてのトーナメントは、協会の定めるルールによって規定される。
トーナメントルールは、本ルールによって規定される。
1.4.1-3に違反したプレイヤーは、失格または受賞権利を喪失することがある。また将来にわたり協会主催のトーナメントへの参加が制限されることもある。
トーナメントは、1人以上のディレクターが運営するものとする。
ディレクターは3人または5人から成るコミッティを構成することができる。コミッティはゲームの進行に関するプレイヤーからの異議申し立てに対して、合議の上で裁定することができる。またディレクターはトーナメント・コミッティに参加することはできない。
ディレクターは、自身の裁量あるいはプレイヤーの依頼によってモニターを任命することができる。モニターはゲーム中に起きる不正の認定に対して、絶対の権限を持つ。またディレクターは、プレイヤーに対してモニターの費用負担を請求できるものとする。
ディレクターはトーナメントエントリーに対し承認権限を持つ。ディレクターは事前の了解なしに、理由の如何を告げることなくエントリーを拒否することができる。
2つ以上のクラスがあるトーナメントの場合、ディレクターにより下位クラスのエントリーを拒否され上位クラスのエントリーを勧められる場合がある。
ディレクターは1.6.1-2の権限を行使した場合、トーナメント終了後に協会に対して詳細報告をする義務がある。
日本国内の公用語は日本語とする。但し、日本語を母国語としないプレイヤーは英語を使用してもよい。
観戦はどの試合でもできるが、観戦中は静かにしていなければならない。プレイヤーは理由の如何を告げることなく、観戦を断わることができる。 観戦者はイリーガル・ムーブを含むあらゆるプレイにコメントする権利を持たない。但しディレクターに対してはプレイ中の不正を報告することができる。
観戦者は対戦中、プレイヤーに対して、いかなるヒント、注意、コメントも発してはならない。
1.8.1-2に違反した観戦者は、トーナメントを失格になる場合がある。
試合中、プレイヤーは電気的、機械的な支援を受けてはならない。
また書物の閲覧、メモの記述もできない。対戦中の筆記はスコアのみとする。
但し、ゲームとゲームの間の休憩時間は試合中とは考えない。
試合中は、プレイヤーはいかなる観戦者からもヒント、コメント等の支援を受けてはならない。
1.9.1-2に違反したプレイヤーは、トーナメントを失格になる場合がある。
プレイヤーはディレクターに対して、いつでもモニターを依頼することができる。
ディレクターは1.9.3の権限を行使した場合、トーナメント終了後に協会に対して詳細報告をする義務がある。
全ての試合はディレクターの指定する場所で行わなければならない。禁煙エリアがある場合、どちらのプレイヤーでもそのエリアを希望することができる。但し、特殊な事情によりディレクターが場所の変更を要請した場合は、それに従うものとする。
全ての試合は予定通りに始めなければならない。時間厳守はプレイヤーの責任である。
どちらかのプレイヤーが希望すれば、ゲームの間に5分の休憩をとることができる。試合の長さが9Pまでは1回、25Pまでは2回の休憩が取れるものとする。
ディレクターは必要に応じて、2.2.1-2の規定を変更することができるものとする。
2.2.1-2に違反のあった場合、以下のペナルティを与える。指定時刻より15分経っても現れない場合、クロックを押すことができる。クロックがない場合、対戦相手に1ポイントを付与する。以降、5分毎に1ポイントずつ付与を続けるものとする。ペナルティを防ぐため、プレイヤーは10分以上離席する場合、ディレクターの同意を得なければならない。
不戦敗となり行われなかった試合の結果はレーティングに反映しない。遅刻し、ペナルティとして持ち時間が減らされた試合の結果はレーティングに反映する。遅刻し、ペナルティとして相手に点数が与えられた試合の結果はレーティングに反映しない。
利用できる限り、最小44cm×55cmから最大66cm×88cmのボードを使用する。試合途中で上記サイズのボードが使えるようになった場合、プレイヤーはボードの交換をすることができる。
利用できる限り、リップのついたカップを使用する。試合途中で上記のカップが使えるようになった場合、プレイヤーはカップの交換をすることができる。
全ての試合はプレシジョンダイスを使用する。クロックを使用する試合は2個のダイス、使用しない試合は4個のダイスを使用する。
対戦中のダイスの交換はできない。但し、欠け割れ等均等性が失われたと思われる場合はこの限りではない。試合途中でプレシジョン・ダイスが使えるようになった場合、プレイヤーはダイスの交換をすることができる。
以下の4ケースの場合、クロックを使用することができる。
ディレクターは必要に応じて、3.4.1の規定を変更することができるものとする。
クロックは正しく機能しなければならず、プレイヤーは試合の始まる前にディレクターに対して使用するクロックの承認を取ることができる。
クロックはボードの横に置かれなければならない。
持ち時間はポイント数x2.5分(1分未満は切り上げ)とし、1手につき12秒を保障時間として与える。1手を12秒超えて考えた時のみ、持ち時間の減算が開始される。試合途中からクロックを使用する場合は両プレイヤーの残ポイント数の合計x1.25分を持ち時間とする。(5away-7awayの場合、持ち時間は (5+7) * 1.25 = 15分となる。)
試合開始前のダイス・ロールにより、席、ボード、チェッカーの進行方向、ダイス、クロック位置を決めることができる。 通常はダイス・ロールにより、チェッカーの色および進行方向、またはクロック位置のどちらかを選択する。
ディレクターはいつでもボードなどの用具を交換することができる。
クロックに明らかな問題がある場合、即座に交換することができる。ディレクターは、新しいクロックにおける両プレイヤーの残り時間を決めることができる。
ディレクターは、自身またはプレイヤーの依頼により、第3者に筆記あるいはビデオによる試合の記録を依頼することができる。
ダイスは1から6まで均一にでるように製作されたものでなければならない。
ムーブ完了までボード上のダイスには手を触れてはならない。但し、対戦相手の許可があれば、ムーブしやすいようにダイスを移動させることができる。
試合開始前に、一方のプレイヤーが4個のダイスをシェイクして、試合に使用するダイスを決めることができる。この場合、一度に4個のダイスをボードに投げ出し、対戦相手と交互に1つづつダイスを選ぶ。
正しいロールとは、ダイスをダイスカップの中で3度以上シェイクして、ロールの際ダイスが指に触れず、かつカップがボードに触れないようにボードに投げ、ダイスが自由に跳ね返り転がるように振ることである。2個のダイスともコックトせずに安定して自分のホームボード(右側)に着地しなければならず、そうでない場合は振りなおしとする。対戦相手の許可があれば、相手のホームボード(左側)にダイスを投げることができる。この場合、対戦相手の許可がなくなるか、そのゲームが終了すれば、自分のホームボード(右側)にダイスを投げなければならない。
対戦相手のコール・ダイスに対して、プレイヤーはディレクターへ報告することができる。ディレクターはプレイヤーの依頼に応じて、コール・ダイスに対し警告することができる。対戦相手がコール・ダイスを繰り返す場合、ディレクターは振りなおし等のペナルティを与えることがある。
プレイヤーは片手でわかりやすくチェッカーを動かさなければならない。
対戦相手がプレイを完了するまでは、チェッカーに触れることはできない。
ゲーム開始時の初期配置に誤りがあった場合、3手目のロール前(=先手の2度目のロール前)ならば正しい配置に直すことができる。3手目のロール以降に誤りが発覚した場合、プレイヤーは誤りのあった対戦者に対して次の選択ができる。
プレイヤーはチェッカーを動かす手と同じ手でクロックを操作しなければならない。
クロックは、次の7つの場合にのみ停止できる。
クロックの残り時間が0になり、プレイヤーまたはディレクターが指摘した場合、時間切れが成立する。時間切れになった場合、スコア状況にかかわらず時間が切れプレイヤーのマッチ負けとなる。なお、手番に入る前に切れていなければ次の1ロールは有効とする。但し、時間切れ時の盤面で時間切れプレイヤーのマッチ勝ちが確実(100%)の場合は盤面が優先され、時間切れであっても勝ちとなる。マッチ勝ちが確実(ジン)というのは、ノーコンタクトで、ジンを主張するプレイヤーがその後全て21を振り、対戦相手が全て66を振っても勝つ局面のことを言う。プレイはお互いが選べるものとする。
各ゲームにおいて最初にキューブが中央に正しく(1または64)置かれていたかどうかは、プレイヤー双方の責任である。但し、クロフォードゲームとしてキューブが除かれていた場合は除く。
プレイヤーは自分のターンの時にダブルをすることができる。但しダブルはロールの前にしかすることができない。ダブルは、プレイヤーがキューブを次のレベルの数字にしてボードの中央に置き、明確にダブルの意思を表明することによって成立する。クロックを使用した試合では、同時にクロックを押さなければならない。またいかなる仕草でもキューブに触れた場合は、必ずダブルをしなければならない。
ダブルを受ける場合、プレイヤーはキューブを自分の側に運び、明確にテイクの意思を表明する。この際、キューブは対戦相手に見える場所に置かなければならない。またクロックを使用した試合では、同時にクロックを押さなければならない。ダブルを降りる場合、キューブを中央に戻し、明確にパスの意思を表明する。またクロックを使用した試合では、同時にクロックを止めなければならない。
クロフォード・ルールは全ての試合に適用される。プレイヤーが必要な得点にあと1ポイントとなった場合、キューブはそのゲームに限り使用することはできない。プレイヤーがダブルをした場合、それは認められない。但しその後のゲームではキューブを再度使えるようになる。
プレイヤーのムーブが完了する前に対戦相手がダブルをした場合、プレイヤーのムーブの完了を以ってダブルが成立する。プレイヤーは次にダブルが成立する事を知った上で、プレイすることができる。(ダブルの取り消しはできない)
もし誤ったレベル(1から4、2から8等)でプレイヤーがダブルして、対戦相手がテイク/パスした場合、そのダブルは成立する。
ディレクターが試合の進行が著しく遅いと判断した場合、次のいずれかの対応を取ることができる。
プレイヤーはディレクターに対して、クロックの使用あるいはモニターの任命を依頼することができる。
全てのゲームは完了するまで続けなければならない。但し、パスしたゲームはその限りではない。ノー・コンタクトのゲームでは、プレイヤーはシングル・ギャモン・バックギャモン勝ち(あるいは負け)を宣言できる。数学的にゲームが確定している場合、その宣言を受け入れなければならない。プレイヤーはこれ以外のセトルをしてはならない。全ての試合は規定ポイントまで行わなければならない。
試合終了後、勝者は速やかに結果をディレクターへ報告しなければならない。ディレクターは結果を確認して、速やかに公開しなければならない。もし誤った結果が公開されても、次の試合が始まるまでは訂正することができる。
プレイヤーは試合中のスコアを記録して、ゲームの始めに対戦相手と確認しなければならない。クロフォード・ゲームの前には、プレイヤーはこれがクロフォード・ゲームであることをお互いに確認しなければならない。
プレイヤーの間で議論が起きた場合は、ダイス、チェッカー、キューブ、スコアシートには手を触れず、ディレクターに伝える。
プレイヤーはディレクターの決定に上告することができる。但し、これは即時にしなければならない。コミッティがディレクターから審判を引き継ぎ、裁定を下すものとする。プレイヤーはこの裁定に従う義務がある。
正規のルールに従っていないプレイヤーは、従っていたプレイヤーに比べ、裁定の際に不利になることがある。
ディレクターおよびコミッティは、プレイヤーに対して適切な説明をしなければならない。プレイヤーは事実やルールについて議論することが許され、観戦者はディレクターより依頼があるときのみ、証言することができる。
プレイヤーはディレクターの判定についての意見を協会へ報告する権利があり、協会は適正なルール改正することができる。
ディレクターおよびコミッティは、コミッティ裁定の内容を協会へ報告する義務がある。